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戦略的イノベーション創造プログラム第3期(SIP第3期):統合型ヘルスケアシステムの構築「B-4:看護師支援・医療の質向上」研究

株式会社アルムでは、内閣府が主導し、国立健康危機管理研究機構(JIHS)が管理法人を務める戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期「統合型ヘルスケアシステムの構築」において、「B-4:看護師支援・医療の質向上」テーマの代表機関として研究開発を進めています。

◾️研究開発概要
「B-4:看護師支援・医療の質向上」テーマでは、「見守りAI」や「看護報告書下書き作成AI」、「容態モニタリングと情報記録」を支援するシステムの研究開発を通じて、看護・介護現場における業務負担の軽減、業務効率の向上、ならびに公平で質の高い医療提供の実現を目指しています。

1.見守りAI
本取り組みでは、「転倒・転落」「急性循環器疾患発症」「褥瘡発生」の3つのリスクを検知するAIに加え、「不適切服薬の検出」や「認知症ケア連携」を目的とした服薬管理領域のAIの研究開発を進めています。これらのAIは、看護・介護記録システム等への実装を通じて、看護師・介護士による各種リスクを考慮したケア計画の立案や、的確なケア提供を支援します。
看護・介護現場で日々蓄積されるリアルワールドデータを活用してAIを開発し、現場に実装・運用。その後、実際の使用環境で得られる新たなデータをもとにAIの精度を継続的に向上させていく「循環型開発」が、本取り組みの大きな特徴です。

⚪︎転倒・転落
看護・介護記録システムに蓄積されている看護・介護データを活用し、過去の記録から転倒・転落のリスク要因となる記述を文脈等を加味して抽出・構造化するAIの開発を目指す。

⚪︎急性循環器疾患発症
看護・介護記録システムに蓄積されている看護・介護データ及び「ライブコネクト」のセンシングデータを活用し、6か月以内に近未来の死亡を含む急性循環器疾患を発症するリスクを検出するAIの開発を目指す。

⚪︎褥瘡発生
看護・介護記録システムに蓄積されている看護・介護データ及び「ライブコネクト」のセンシングデータを活用し、3か月以内に褥瘡が発生するリスクを検出するAIの開発を目指す。

⚪︎不適切服薬の検出
看護・介護記録システムに蓄積されている看護・介護データをもとに、ポリファーマシーの発生の可能性がある場合にアラートを発出するAIの開発を目指す。

⚪︎認知症ケア連携
医療関係者間コミュニケーションアプリ「Join」を用い、遠隔診療システムを活用した遠隔モニタリング体制を構築する。専門医が十分でない病院と専門医を繋ぐことで、認知症新薬の適正使用を支援するとともに、認知症患者にみられる精神症状・行動症状であるBPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)に対する環境整備などの非薬剤療法も含めて、認知症ケア全体の質の向上を目指す。
認知症ケアに関わる医師への意思決定支援や、認知症専門医の負担軽減の実現に向けて、生成AIの応用も進める。

2.看護報告書下書き作成AI
看護・介護記録システムに保存されている過去の記録文書をもとに、医師や家族向けの看護報告内容の下書きを作成する医療用LLMの開発を進めています。本機能を看護・介護記録システムに実装することにより、看護師の文書作成にかかる時間の削減、業務の効率化を支えます。

3.容態モニタリングと情報記録
AI・ICT技術を活用した看護業務支援体制の構築に取り組んでいます。 特に、生成AIを用いた「看護記録AI」の開発と実装を重点的に推進し、看護師による記録作成の負担を軽減するとともに、患者・家族・多職種に向けた記録内容の下書き生成や要約支援を通じて、チーム医療における情報共有と意思決定を支援することを目指しています。 さらに、センサーデバイスやモニタリング機器によるリアルタイム情報との連携も見据え、技術的・運用的観点からの実装可能性を検討することで、医療・介護・在宅を横断するシームレスな看護支援の実現と、人材活用の最適化による質と効率の両立を図っています。